こんにちは。ファイナンシャルプランナーの合田です。
娘さんの国民年金の「学生納付特例制度(在学中、国民年金保険料が免除されるしくみ)」についてのご相談ですね。
家計をやりくりされながら1年分の保険料を払われたとのこと。「最良の方法だったのか?」とご心配されていますが、間違った選択ではありませんよ。今、保険料を納めることは、娘さんの将来の老齢基礎年金額を増やすことに繋がります。
①国民年金について
☆国民年金(公的年金制度)の主な給付内容
給付内容 受給資格期間 受給期間 受給額(平成29年度)
老齢基礎年金 加入期間が10年以上あること
(平成29年8月以降)
※平成29年7月までは25年 原則65歳から死亡するまで 満額の場合
年額779,292円
(月額 64,941円)
障害基礎年金 障害等級の1・2級に該当すること 障害状態である期間 1級:年額 974,125円
2級:年額 779,300円
遺族基礎年金 18歳未満の子どもがいる妻、
または18歳未満の子供に該当すること 子どもが18歳になった年度末まで 母親と子1人
年額 1,003,600円
母親と子2人
年額 1,227,900円
ただ、1つ誤解されているのは「万一、障害者になった場合」についてです。「学生納付特例制度」を利用すると、在学期間中の年金保険料の支払いは免除されますが「免除期間中」に起こった事故などで、万一「障害者」になったとしても「障害基礎年金」を受け取ることが出来ます。ですので、その部分に関しては、年金保険料を納めていても、免除(特例)の手続きをしていても状況は同じなのです。
怖いのは、「特例制度申請」の手続きをせずに未納のままにしていた場合です。未納期間中に障害者になった場合は、将来に渡って「障害基礎年金」の受給権がありません。
学生で収入が無く「年金保険料」が払えない状況であっても、「特例制度の手続きをする」のと、ただ「未納のまま放置する」のでは、大きな違いがありますのでご注意くださいね。
②学生納付特例制度ってどんなもの?
簡単に「学生納付特例制度」について説明しましょう。
20歳以上の学生は、所得が一定額以下なら「学生納付特例制度」を利用することが出来ます。日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人は国民年金へ加入することが法律で義務付けられていますが、この制度を利用すると在学中は保険料を納付する必要はありません。そして、将来、満額の年金を受け取るために後から保険料を追納することができます。「学生納付特例制度」の申請は、在学期間途中でも可能です。
年金を「満額」受け取るためには、40年間年金保険料を納めること。年金がもらえる権利を得るためには、「受給資格期間」として最低10年以上(平成29年8月1日以降)保険料を納める必要があります。「学生納付の特例期間」は、年金を納めた期間にはみなされないので、追納しなかった場合は、特例期間分に該当する部分の年金額が減ってしまいます。ただ、特例期間は受給権を得るための「受給資格期間(最低10年以上)」には算入することが出来ます。
尚、追納は10年以内可能、特例承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に追納する場合は、保険料に加えて追納加算金が必要になるので注意が必要です。
☆最後にアドバイス
お子様の年金保険料を納め続けることで、日々の家計が厳しくなってしまうなら、それは本末転倒です。ただ、この機会に、今一度、日々のお金の使い方に無駄はないか?家計支出の見直しを実践してみるのはいかがでしょうか?
お2人のお子さまの今後かかる教育費やご夫婦の老後資金準備など、「未来の家計は大丈夫か?」長期的な資金計画を考えたうえで「学生納付特例制度」を利用するのがベストかどうかを考えてみて下さいね。