3つの制度の共通点
NISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)と会社で加入する確定拠出年金には、大きな共通点が1つあります。
それは「運用益が非課税になること」。通常、株式投資や投資信託などの運用で得られた利益には、20%超の税金がかかります。この3つの制度を使って投資をした場合には、税金がかからないというメリットがあるのです。
内容は全く異なる制度
運用益が非課税になるという共通点はありますが、それぞれの制度内容は全く異なります。4つのポイントに分けて違いをみていきましょう。
<税制優遇>
iDeCoでは、運用益が非課税になるだけでなく、掛金全額をその年の所得から引いてもらえるため大きく節税することが可能です。会社の確定拠出年金に自分でお金を上乗せするマッチング拠出でも同様の効果が得られますが、NISAではこうした優遇はありません。
<換金できる年齢>
iDeCoと会社で入る確定拠出年金は60歳以降にならないと受け取ることができません。ちなみにiDeCoの正式名称は「個人型確定拠出年金」と言いますので、会社で入る確定拠出年金と同じく老後資産を準備する制度なんです。
一方、NISAの正式名称は「少額非課税投資制度」といい、少額投資で得た利益が非課税になる制度なので、利用目的は老後資産準備に限られているものではありません。ですから投資したお金については、いつでも換金可能です。
<非課税期間>
iDeCoと会社で入る確定拠出年金については、運用益の非課税期間は年金を受け取るまで(最大70歳まで)続きます。
一方NISAの非課税期間は5年間と短くなっています(5年経過後に、その年の非課税枠を利用するロールオーバーを使うことも可能です)。
<入れる人>
NISAは日本国内に住んでいる20歳以上の人なら誰でも入れます。証券会社や銀行、郵便局などで1人につき1つのNISA口座を開設できます。もちろん、iDeCoや会社の確定拠出年金に入っていても、加入可能です。
iDeCoは20歳以上60歳未満の人なら原則誰でも入れます(厚生年金被保険者であれば20歳未満も可)。2017年からは専業主婦や公務員も入れるようになりました。ただし、以下の人は加入できません。
- 自営業や学生など第1号被保険者で免除を含めて国民年金保険料を納めていない人(ただし、障害年金受給で法定免除されている場合は加入可)
- 企業型確定拠出年金の加入対象者で、iDeCo加入を認めていない会社に勤めている人
- 農業者年金被保険者の方
同じ確定拠出年金でも、会社で入る確定拠出年金は入れる人は限定されています。そもそも勤めている会社に制度が導入されていなければ入れません。退職金制度の一つであるため、会社が掛金を出し、会社が選んだ金融機関でしか運用商品を選ぶことはできません。ただし、会社によってはマッチング拠出といって、従業員が掛金を自分でプラスして出すことができる場合もあります。
その他、掛けられる上限額などほかにもいくつか違いがある3つの制度。いつ使うために投資するのか、その目的に応じて、手段を選ぶとよいかと思います。